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11月の論文紹介まとめ

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医局SNSでは適宜論文紹介を行っております。紹介する論文は、新しい論文で医局員がオモシロイと思ったものです。
11月に紹介された論文を、コメント共に紹介します。
ご興味ある方はぜひご一読ください。

1.Microemboli Detection in Acute Ischemic Stroke Could Be an Early Marker of Poor Cognitive Outcome. Ferreira J, et al. Stroke. 2025 Sep 30.
doi: 10.1161/STROKEAHA.125.052253.

急性虚血性脳卒中患者における微小塞栓信号(MES)が長期的な認知機能に与える影響を調査した研究です。
2020年11月から2022年5月までの間に発症72時間以内に入院となった急性期脳梗塞を対象として、経頭蓋ドップラー(TCD)を用いて両側M1・P2にて30分間のMES検索を行い、発症12ヶ月時点でMoCAを基にした7段階の認知スケールで認知機能を評価しました。
結果、計316人を対象とし全体の12.3%がMES陽性でした。MES陽性患者は女性、脳卒中の既往、t-PAやEVT施行が多く、入院時のNIHSSスコアは高値である傾向にありました。
年齢と教育年数で調整した場合のMES陽性であることの認知機能低下に対する調整オッズ比(aOR)は2.04(95%信頼区間 [CI], 1.27–3.28; P<0.01)でした。MES陽性患者で正常な認知スコアを示した患者は0%でしたが、MES陽性患者において、検出されたMESの件数は、12ヶ月後の認知機能転帰の悪化とは関連していませんでした。
この研究により、MESの存在は12ヶ月後の認知機能の悪化と有意に関連することが示されました。TCDによるMESの検出は、予後不良な認知機能低下のリスクが高い患者を早期に層別化する指標となる可能性が示唆されました。MES検索にもますます精が出ますね(Strokeチームより)

※詳細は以下のリンク先をクリックしてご覧ください。

https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/STROKEAHA.125.052253

2.Early Subtypes and Progressions of Progressive Supranuclear Palsy: A Data-Driven Brain Bank Study.
Ono D, et al. J Neurol. 2025 Oct 17;272(10):704. doi: 10.1007/s00415-025-13459-5

AIを用いた大規模臨床データ解析により、進行性核上性麻痺(PSP)の新たな臨床サブタイプが明らかになりました。
本研究では、剖検でPSP病理が確認された588例を対象に、 ChatGPT(対話型AI)の技術を応用し、カルテなどの臨床記録から症状や発症時期を自動で抽出・整理し、網羅的に解析しました。
その結果、教師なしクラスタリングと決定木モデルにより、PSPは7つの臨床サブタイプに分類されました。中でも、「PSP-PF(postural and frontal dysfunction type)」と呼ばれる新しい病型が同定され、姿勢障害と前頭葉機能障害を早期から示す一方で、疾患の進行が最も速く、皮質および皮質下領域に広範なタウ病理を有することが明らかになりました。
本研究は、AIを活用してPSPの多様な臨床経過を客観的に再定義した初の報告であり、病型ごとの進行予測や臨床試験の層別化に向けた新たな指標として注目されます。
日常臨床でデータベース化されていない文章記録を整理する手法としてAIが有用であることも示されました。
(PDチームより)

※詳細は以下のリンク先をクリックしてご覧ください。

https://link.springer.com/article/10.1007/s00415-025-13459-5

3.Incidence, Risk Factors, and Outcomes in Stressor-Associated Atrial Fibrillation: Insights from the VITAL-AF Trial.
Haimovich, Julian et al. Circulation. 2025.

ストレス因子関連心房細動(stressor-associated atrial fibrillation: SA-AF)を調査したVITAL-AF試験の紹介です。SA-AFは、感染症、手術、急性疾患などの一過性の生理的ストレスを契機に新たに発症するAFとして定義されます。本試験では65歳以上の3万265名を対象としました。そのうち、AFを新規に発症したのは988例(3.3%)で、 そのうちSA-AFは290例(29%)でした。SA-AFの主な誘因は感染(40%)、心臓手術(26%)、非心臓手術(16%)でしたが、90日以内の新規抗凝固療法導入率は、  SA-AF 56%、原発性AF 75%と有意に低値(p<0.001)でした。主要複合転帰(脳卒中+大出血+全死亡)の発生率(/100人年)は 非AF 2.3、 原発性AF 15.1、 SA-AF 22.7と脳卒中・死亡リスクは原発性AFと同等でした。SA-AFは決して良性ではなく、しっかりと塞栓症予防することが大事だと感じました。(Strokeチームより)

※詳細は以下のリンク先をクリックしてご覧ください。

https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/CIRCULATIONAHA.125.076421

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東京慈恵会医科大学 内科学講座 脳神経内科

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