Blog/ブログ

Blog/ブログ

HOME > ブログ一覧 >

2月の論文紹介まとめ

  • 研 究

医局SNSでは適宜論文紹介を行っております。紹介する論文は、新しい論文で医局員がオモシロイと思ったものです。
2月に紹介された論文を、コメント共に紹介します。
ご興味ある方はぜひご一読ください。

1.Recombinant factor VIIa versus placebo for spontaneous intracerebral haemorrhage within 2 h of symptom onset (FASTEST): a multicentre, double-blind, randomised, placebo-controlled, phase 3 trial
Broderick, Joseph P et al. The Lancet(In Press, Corrected Proof:Available online 4 February 2026)

今回はISC2026で発表されたFASTEST試験の紹介です。脳内出血発症2時間以内に、遺伝子組換え活性化第VII因子(rFVIIa)を投与する第3相試験です。血腫量 2–60 mLで脳室穿破が限定的な成人を対象に、発症2時間以内でrFVIIa 80 µg/kg vs プラセボを二重盲検で比較しました。
中間解析で無益性により試験は停止基準に到達し626例(プラセボ298、rFVIIa 328)が解析対象になりました。結果として、180日mRSは両群で差がなく(調整共通OR 1.09[95%CI 0.79–1.51], p=0.61)、一方で生命を脅かす血栓塞栓性合併症(4日以内)が増加しました(rFVIIa群 <5% vs プラセボ群 1%、RR 3.41[1.14–10.15] p=0.020)。
ただし、画像上は血腫増大を抑制し、24時間までの血腫増大は−3.7 mL(95%CI −5.4〜−1.9)、血種・脳室穿破増大は−5.2 mL(−7.6〜−2.8)と小さくなりました。
サブ解析では発症90分以内(OR 1.82[0.98-3.40])、造影CTでspot sign陽性(OR 1.86[0.94-3.68])だと転帰改善に傾く傾向にありました。今後はこのような患者を対象に臨床試験を再度行うとのことで、引き続き注目ですね。(strokeチームより)

※詳細は以下のリンク先をクリックしてご覧ください。

https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(26)00097-8/abstract?fbclid=IwY2xjawQLcyBleHRuA2FlbQIxMABicmlkETJ1VVJmYnB6NVdWQkEwOFBDc3J0YwZhcHBfaWQQMjIyMDM5MTc4ODIwMDg5MgABHkbjexiT2mve8w9WuGFkc94Y6bNdagziCBuuqOa5udqgo3eLslR-PJ4oqT7N_aem_EB1b68_rBAObJjV9pYph2g

2.Comparative Effectiveness of Rituximab Dosed Every 6 and 12 Months in Relapsing Multiple Sclerosis.
Langer-Gould A, et al. Neurology. 2026;106:e214473.

今月は多発性硬化症(MS)に関する文献の紹介です。再発寛解型MSにおけるリツキシマブの投与間隔を、標準の6ヶ月から12ヶ月へ延長した際の効果を比較した研究です。治療開始1年後に病勢が安定した患者を対象に、target trial emulationの手法を用いて解析した結果、投与間隔を12ヶ月に延長しても、その後4年間の再発や障害進行のリスクは増加しませんでした。B細胞の増加が見られても有効性は維持されたことから、感染症リスクや費用を抑えた維持療法の可能性が示唆されました。本邦ではリツキシマブは保険適用ではありませんが、抗CD20抗体療法においても投与間隔延長(EID)の有効性や出口戦略の可能性を示した画期的な報告と考えます。(神経免疫チームより)

※詳細は以下のリンク先をクリックしてご覧ください。

https://www.neurology.org/doi/10.1212/WNL.0000000000214473

3.Three years later: tracking bothersome symptoms and impacts for people with early Parkinson’s disease. Mammen, J.R., Reddy, V., Lerner, A. et al. J Neurol 273, 93 (2026).

早期パーキンソン病患者にとって時間経過で大きくなるのは, 「症状そのもの」の悪化ではなく症状に由来する生活や心の影響です。
パーキンソン病患者にとって何が困っていることかを明らかにすることは重要ですが, それが時間経過でどう変わるかははっきりしていません。本研究は, 早期パーキンソン病患者32名を1年毎に3年間追跡し症状と日常生活への影響がどのように変化するかを調べました。
結果, 運動症状や一部の非運動症状には変化がありましたが多くの症状は大きな変化を示しませんでした。一方, 日常生活の負担は増加し, 離床動作や階段昇降や食事, 着衣等で有意に労力を要し, 生活背景として3/4以上が退職していました。コミュニケーション困難や恥じらい, 趣味減退, 社会的孤立などの心理社会的影響が有意に増加しました。しかし, 全員が変化を受け入れ前向きな自己管理を行い適応を図っていました。
早期パーキンソン病患者にとって症状そのものではなく症状に由来する身体的・心理社会的影響が時間と共に増加します。臨床現場では早期に身体的支援だけでなく心理社会的支援も重要です。(PDチームより)

※詳細は以下のリンク先をクリックしてご覧ください。

https://link.springer.com/article/10.1007/s00415-026-13615-5

4.Classification and Management of Ischemic Stroke in Patients With Active Cancer: A Scientific Statement From the American Heart Association. Navi BB, et al.
Stroke. 2026 Feb 2. doi: 10.1161/STR.0000000000000517. AHAから発表されました癌関連脳卒中に関するscientific statementの紹介です。癌関連脳卒中は従来TOAST分類では「原因不明(cryptogenic)」に分類されてしまっていました。これをTOASTの「他の原因(other determined cause)」に分類できるように因果関係の確実性で層別化しています。
具体的には、
① Probable cancer-related stroke(確実度:高)
NBTE、ISTH DICスコア ≥5、腫瘍が左房・左室、肺静脈、頸動脈系に浸潤のいずれか一つ以上を満たす場合
② Possible cancer-related stroke(確実度:中)
検査後も原因不明、活動性癌ありかつ以下を満たすDダイマー高値(1.25μg/mL以上)、多血管領域梗塞、TCDでHITS、RBC-poor clot
③ Unlikely cancer-related stroke(確実度:低)
上記 Probable / Possible のいずれも満たさない治療
となっています。
IVTでは、Plt確認を推奨、脳転移は投与避けること、EVTでは、予後ではなく「今回の治療でどこまで神経症状が戻るか」にfocusすることが推奨されています。1年再発率は14–29%と高率です。
2次予防としてはAfがある場合にはDOACを、小血管病変がある場合には抗血小板薬を、それぞれ投与することが推奨されています。放射線治療後の頸動脈病変ではCEAよりCASを考慮すること、NBTEでは急性期はヘパリン、慢性期はDOACも選択肢となること、上記でpossibleに該当するなど原因不明の場合には抗血小板薬と抗凝固薬は差はないことも記載されています。
これまで曖昧になっていた部分がしっかり定義されることで今後臨床試なども進んでいくことが期待されます。(strokeチームより)

※詳細は以下のリンク先をクリックしてご覧ください。

https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/STR.0000000000000517

一覧はこちら
最上部へ
東京慈恵会医科大学 内科学講座 脳神経内科

〒105-8461 東京都港区西新橋3-25-8